BlenderでMMDモデルを作成 #6【Exhibit】


はじめに

『BlenderでMMDをモデル作成 #5』の続きです。

前回はPmxEditorでモデルの編集を済ませました。
今回はいよいよ作成したモデルをMMDで躍らせてみます。

尚、記事の内容については正確性を保証致しません。「解説」ではなく、個人のメモ、備忘録のような情報としてお読みください。
また、以下の環境でモデルの作成を行っています。

ソフト、アドオン
Blnender2.83LTS
MMD Tools2.4.0
PmxEditor0.2.5.7

各機能や設定についてハイライトで色を分けています。

  • Blenderの機能・設定
  • MMD Toolsの機能・設定
  • MMD Toolsの機能で作成されたもの

準備

.vmd

MMDで躍らせるに当たり、モーションデータが必要です。

今回はBowlRowlよりhinoさんの作品『ねこみみスイッチモーション』をお借りしました。

.wav

piaproよりdaniwellさんの『ねこみみスイッチ』をお借りしました。


調整

試運転

まずは.vmdを読み込んで動かしてみました。

以下の問題が見られます。

  • メッシュに裂け目がある
  • 膝の曲がる角度がおかしい

これらの点を修正していきます。

Blenderで調整

おそらくPmxEditorでも頂点の移動や統合等の編集は可能なのでしょうが、未経験なのでまたの機会にします。

MMD Toolsの「インポート」機能を試してみたいと思います。

Blenderにインポート

操作に慣れたBlenderで再編集するため、MMD Toolsの機能を用い、PmxEditorで編集したモデルを逆輸入します。

インポート」の手順

以下の手順で行いました。

①Blenderで新規のファイルを開き、デフォルトで配置された立方体を削除
②MMD Toolsで「モデル」「インポート」をクリック
③インポートするモデルを選択

手順②
手順③

インポートの設定は画像がデフォルトの状態です。
今回はこのまま「Import Model File(.pmx)」をクリックします。

モデルが読み込まれました。

インポート」の特徴
  • ボーングループ

PmxEditorで編集した「表示枠」は、Blenderでは「ボーングループ」というカテゴリーで反映されるようです。

  • ボーンをリネーム・L/R接尾辞

インポート時、「ボーンをリネーム・L/R接尾辞」にチェックが入っていれば、PmxEditorで編集したMMD向けの日本語名の「左」「右」を「.L」「.R」に置き換えた名称で表示されます。
Brender上の表示が変化するだけであり、PmxEditorで編集した日本語名、あるいは「MMDボーンツール」で編集した「名前:」そのものが変更されるわけではありません。


メッシュを修正

体の中心に沿った裂け目を治します。

やはり背中の中央の頂点が分離していますね。
原因はおそらく、メッシュ作成中に頂点のオートマージ機能を無効にして作業をしていたのではないか、と思います。

これを修正します。

オートマージで処理したかったのですが、何故か結合してくれませんでした。

「ミラー」モディファイアーのクリッピングのように、左右対称編集とオートマージを用いて中央で頂点を結合させる、といった使い方はできないのでしょうか?
これはまた別の機会に試してみたいと思います。

とりあえずは、2点を選び「マージ」「中心に」で中央に頂点を結合しました。


サイズを修正

初音ミクさんの身長に合わせます。

大きいままでも問題はないですが、カメラモーションを読み込む際、焦点がずれてしまいますので、小さくしておきます。

Z軸の大きさを1.58mに調整しました。


膝の曲がる角度を修正

膝が逆に曲がってしまう問題を解決します。

「腰」を操作して上半身を傾ける等、不自然な動きになっています。

「角度制限」の設定

今回参考にさせていただいたモデルには、以下の共通点があります。

  • 足の「IK」の「Link」の『ひざ』は「角度制限」が指定されている

以下は「角度制限」の軸と値の一覧です。

MinMax
X-180-0.5
Y00
Z00

角度について考えると、正と負?時計回りと反時計回り?とよくわからなくなってしまいます。
作成した表には「Min」「Max」と書いてしまいましたが、これが正しいかさえ疑問です。

実物が回っているのを見た方が早そうです。
ですので、MMD上で実際に『左足D』ボーンを回転させてみました。

動画を見て、X軸の回転において以下のことがわかります。

  • 回転が正の値の時、膝は曲がってはいけない方向へ回る
  • 回転が負の値の時、膝は自然な方向へ回る

このことと、「角度制限」の値から考えると、次のように言えると思います。

  • 曲げた膝は、ふくらはぎが太腿の裏と完全に接触するまで回転する
  • 膝は逆には反らないし、完全に伸び切ることもない

画像は『左足IK』を操作したものです。

『左つま先IK』はOFFにしています
膝は少し曲がった状態を保つ

このような挙動が、上記の軸と値の「角度制限」によって実現されている、ということだと思います。

「角度制限」に値を設定する

上記の値に設定します。

「角度制限」の値の設定はPmxEditorで行いました。


この設定はおそらく、Blender上の「ボーンプロパティ」の「IK」項目からでも可能だと思うのですが、今回は試していません。

画像は今回のモデルを完成させた後、再びBlnederにインポートした状態です。

ビューポートに回転可能な範囲が赤い半円で表示されていてわかりやすいですね。

『左ひざ』の「IK」項目を確認します。

MinMax
X0180
Y00
Z00
Blenderの「IK」各軸の制限

角度の値の「±」がPmxEditorとBlenderで異なっているのでしょうか?
「-0.5」も反映されていないですね。


BlenderとPmxEditorで角度については仕様に違いがあるようなので、注意が必要なようです。


マテリアルを追加

せっかくなのでモデルに色を付けてみました。

Blnederの「UV Editing」「Texture Paint」で作成したテクスチャ画像を「shading」で組み込みました。

試しながらの作業なので、確かなことは言えませんが、以下の条件を満たしていればエクスポート時に反映されるようです。

  • 「shading」のノードで「MMDShaderDev」を使用する
  • 「MMDテクスチャ」でテクスチャ画像を指定する
MMDShaderDev

「MMDShaderDev」については初回の投稿で触れました。メモ書き程度の情報でよろしければ、ご覧ください。

今回は「モデルを変換」を使用しなかったためか、「組み立て」「すべて」等をクリックしても「MMDShaderDev」ノードは追加されませんでした。
ですので、猫耳の「shading」から「MMDShaderDev」をコピペで追加して使用しました。

別のモデルの「モデルを変換」時に作成された「MMDShaderDev」ノードをコピー
テクスチャ画像
各マテリアルに対応するテクスチャ画像を指定
Pmx編集「材質」タブ

「マテリアルプロパティ」「MMDテクスチャ」の「テクスチャ」に使用したテクスチャ画像を指定すれば、エクスポート時、テクスチャ画像を内に格納する「textures」というフォルダが出力先に作成されるようです。

エクスポート後、PmxEditorを開き「材質」タブを確認すると、テクスチャ画像が指定されていることがわかります。

画像のモデルは試行錯誤中のものです。エクスポート時の配色は変えています。


エクスポート

調整したモデルをエクスポートします。#4の投稿内容を元に行いました。

エクスポート後、PmxEditorで開き確認をしました。
加えて、前述の通り、足の「IK」の膝の「角度制限」の値を調整しました。


MMDで準備

MMDで準備をします。

.pmxの読み込み

作成したモデルを読み込みます。

.vmdの読み込み

モデルにモデル用のモーションデータを、カメラにカメラ用のモーションデータを読み込みます。

.wavの読み込み

MMDで読み込める音源は.wavのみのようです。

お借りした音源は.mp3でしたので、これを.wavに変換し、MMDで読み込ませたところ、以下の警告が表示されました。

変換ソフトを変える等、対策はあると思うのですが、今回は動画編集で映像と音源を合成し、作品を仕上げたいと思います。

.aviを書き出し

とりあえず未圧縮で書き出してみました。30fpsで4分弱の動画で約6GBの容量でした。

動画編集

MMDで書き出した動画ファイルとお借りした音声ファイルを合わせ、.mp4に変換し出力しました。

容量は約30MBでした。圧縮すごいです。


完成

遂に完成しました!

何か所か映像に乱れがありますが、ご容赦ください。

下記はモーションの配布元の動画のURLです。可愛いです!


終わりに

なんとか完成させることができました。

モーフ(表情)、髪を動かすための剛体、衣装のデザイン等、勉強すべきことはまだまだたくさんあります。

読んでくださった方、ありがとうございました。

著者名書籍名出版発行年月日参照頁
緋子Blenderで作るキャラクターモデリング入門実践ガイドマイナビ出版初版:2021/5/241~360p
参考文献
サイト名ページタイトルURL参考にした日付
Blenderhttps://www.blender.org/2022/12/11
UuuNyaa/blender_mmd_toolshttps://github.com/UuuNyaa/blender_mmd_tools2022/12/11
とある工房https://kkhk22.seesaa.net/2022/12/11
Vocaloid Promotion Video Projecthttps://sites.google.com/view/vpvp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A02022/12/11
mmCGチャンネル animetichttps://www.youtube.com/channel/UCvC55dRRUwzHgkj1oiylDpg2022/12/12
MMD用ボーンの作り方【技術書】https://booth.pm/ja/items/34225582022/12/11
piapro.netCharacterhttps://piapro.net/pages/character2023/1/16
参考URL

参考にさせていただいたモデル、お借りした作品について

readme、各サイトのガイドライン等を読み、禁止事項に当たらないよう注意し、今回の投稿をしております。

制作者の皆様には、この場を借りてお礼を申し上げます。
制作者の皆様、素晴らしい作品を参照・使用させていただき、ありがとうございます。

モデル名製作者様URL
Tda式初音ミク・アペンド_ver1.10Tdahttps://bowlroll.net/file/4576
YYB Hatsune Miku_10th_v1.02YYBhttps://bowlroll.net/file/146083
つみ式ミクさんv4つみだんごhttps://3d.nicovideo.jp/works/td56081
Lat式ミクVer2.31Lathttp://innoce.nobody.jp/
参考MMDモデル
作品名製作者様URL
ねこみみスイッチdeniwellhttps://piapro.jp/daniwell
ねこみみスイッチモーションhinohttps://bowlroll.net/file/421
お借りした作品

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